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HEPが奈良の老舗オリエンタルシューズにオーダー!一級品の革にたどり着いた初のレザーサンダルを発売



奈良県大和郡山市に拠点を構え、ハイブランドを含む数々のレザーシューズを担ってきたオリエンタルシューズ株式会社との初タッグが実現。取締役・営業部長の松本英智(まつもとえいち)さんと、HEPディレクターの川東(かわひがし)が、試作を重ねた完成までの経緯やエピソード、さらにはアイテムの推しポイントやぴったりなコーディネートについて語り合います。松本さんの革へのこだわり、革靴のプロが捉えたサンダル作り、話を聞いたらより一層、履いてみたくなっちゃいます。



(写真左) 松本英智: オリエンタルシューズ株式会社取締役 / 営業部長 (写真右) 川東宗時: 株式会社川東履物商店 代表取締役 / HEPディレクター


実は稀!同じ奈良で異なる履物ブランドがタッグ


ーー今回のコラボ商品を作ることになった経緯を聞かせてください。


川東:僕から松本さんに話を持ちかけました。今のHEPサンダルより、もっと飛躍したハイスペックなもの。これまでのHEPでは表現できなかったことをずっとやりたいと思っていました。そこで、質実剛健でオーセンティックなシリーズを手がけているオリエンタルシューズさんと、一緒に商品を作れないかと、まずは相談ベースでお話を持ちかけました。


松本:話をもらって正直びっくりしました笑。

でもうれしかったですね。どんな着地点になるか、最初イメージできなかったですけれど、奈良県内の履物ブランド同士、どんな商品が完成するかワクワクしました。


川東:2021年秋頃に僕がお声がけして、その年末に最初の打ち合わせをしたので……もう1年以上前になるんですね!


松本:お互いどういうことをやるのが良いか、意見交換しましたね。そこから月一くらいで会って話して、材料やデザインなど詰めていき、サンプル上がったのが2022年の春でしたね。



ーー同じ奈良の履物産業。このようなコラボは珍しいことでも無さそうなのですが……?


川東:昔はなかったですね。

それぞれのジャンルで組合があって、サンダルはサンダル、革靴は革靴と。同じ奈良でもそれを越境することはありませんでした。


松本:閉鎖的だったけれど、オープンになってきてますよね。そのきっかけは、自社ブランドの発足。ユーザーと直接繋がろうって時代になったことかなと。


昔は問屋があって、自社ブランドが自ら小売りも発信もしませんでしたから、横に繋がることはなかった。でも時代とともにメーカー発、作り手発のブランドは、自らの発信を大事にするようになりましたし、クラフトブランド同士も繋がりやすくなりましたね。


川東:そうですね。イベントでご一緒したときは靴、靴下、サンダルと奈良の履物ブランドが集まりました。親和性が良かったし、思想のバイブスが合った感覚でした。



ーーコロナ禍もありましたし、作りて側に徹していたメーカーや工場が発信し、ユーザーと繋がることができる今だからこそ交わったと。


川東:全く意識していないですが、僕らは新しい世代の人間なのかなと。これまで権限を持って、バリバリと動いていたのは自分たちの親世代。そんな先輩たちは今、60代を越えて70代に差し掛かる方たちも増えてきている。

古き良きしがらみも残りつつ、そんな中でゆるりと、培ってきた文脈を携えながら僕たちの様な人たちが出てきているのではないのかなと。昔だったらこうした動きはなかったと思うんです。



ーーもともとお互いの存在は知っていたんですか?


川東:松本さんを知ったのは、2018年の中川政七商店が主催する教育講座。そこで話すことはなかったけれど、オリエンタルシューズさんのことは何となく知っていました。


松本:僕もその講座で川東さんの存在を知りました。大和高田や御所(ごせ)エリアでサンダルが作られているのはふんわりと知っていたのですが、接点はなかったですし同世代ってだけで親近感が沸いていました。



川東:そして2020年にHEPがローンチ。松本さんは2021年にスニーカーブランド、TOUN(トウン)を立ち上げられた。お互い地元で異なるブランドだけれど、ほぼ同時期にブランドが生まれて。そのあと、オフィスキャンプの坂本さんなどを介してご一緒することも増えて、履物カテゴリーで横串が通った感覚がありました。



ーーそこからお互いの距離が縮まったきっかけは?


松本:初めて膝を突き合わせて話したきっかけは、TOUNを立ち上げてから。ライブ配信を毎月企画していて、2回目か3回目の時に、むねくん(=川東)がゲストだったこと。工場に来てライブ配信に参加してもらいました。そこから次はHEPの製造工場に行って、2度目のゲスト出演。

お互いの製造背景に入り込んでみると、流派が違って新鮮でしたね。




シンプルだから難しいサンダル作り


ーー今回の商品開発を通して、それぞれの考え方の相違や共通点に気づきそうですね。


川東:印象的だったのは、ラスト(木型)が全く違う点。製造のアプローチとして、自分の手掛けるサンダルはいかにシンプルに作っていくか。特に我々の場合は、できるだけ作り手さんに楽をしてもらうとか、複雑な工程を避けてデザインを考えたりもするので、融通がきく構造になっています。

でも革靴は全く逆で、緻密でシビアなんですよね。


オリエンタルシューズに保管されているラスト

松本:サンダルって足を覆い切らないじゃないですか。つまり踵(かかと)が常に空いてる状態。足に対して緻密に設計したラストを作ったとしても、サンダルは足の半分ほどしか覆わないのであまり意味をなさない。一方で革靴は踵まで覆って固定させます。足にフィットするために、より緻密に木型を作っているんです。


川東:同じ履物でも全然違うのに、松本さんはやり方一つ否定することもなく、一つの流派として受け入れてくれました。


(写真中央) 今回の制作で用いたHEPのラスト

ーー松本さんは普段から繊細な革靴づくりを行っていますが、サンダル作りはどうでしたか?


松本:いやあ、革靴より難しいと思いましたね。革靴はラストさえ、いい感じで作れたら勝負が6〜7割決まったようなもので、靴の心臓って言われているくらい重要な要素を握っています。でもサンダルの世界ではラストの力ってそこまでない。

少ない要素でサンダルの履き味の良さを出すってハードルが高いなと思いました。素材の選び方、ソールのかえりの良さなど、限られた要素だけで表現していかないと。



ーーそうして出来上がったコラボ商品。どんな思いを込めて作りましたか?


川東:HEPで言うと、新しい“自分らしさ”を携えて、新しく届けたい人たちに向けた商品作りがしたかった。結果的に今まで以上の表現ができたと思います。


松本:とにかく“いつも通りいいものを作る”ですね。革靴を作るときと変わらず、革靴流でね。



HEPだからこそ採用に踏み切れた“一級品でワケありの本革”


ーー商品化に当たって特に大変だったことはなんでしょうか?


川東:素材選定の段階です。最初に革を2種類くらい候補を選んで。その候補の革よりも艶感を抑えようってなって。試作を2、3度繰り返したのですが、なかなかしっくりくる表情のレザーが無いなと。

少し立ち止まってお互いに考えていたときに「……でもな〜〜」と少し渋った様子で倉庫から持ってきてご提案いただいたのが、この「ボックスカーフ」でした。


松本:その革に決まるまで、いろいろ検討していて、実質製品づくりの半分以上の期間が決まりきらず。むねくんの好みも掴みきれてなくて、革の厚さ、色味、素材感など、的を射ることができなかったんです。


それで「条件付きなんだけど、これどう?」って提案したのが、結果的に採用となるこの「ボックスカーフ」。ボックスカーフはいわゆる高級靴に使う革なのですが、条件付きというのが、通常の生産で使えなかった部分ということなんです。

細かい筋が出ている牛の首周りの部位だったり、裁断後に残った端切れだったりを保管していて。革も生き物。一枚の革でも部位によって、シワが激しかったり細かいキズが見られる箇所があります。人間の肌もそうですよね。


ただ、そういった部位は高級靴の世界では傷モノ扱いされてしまいます。でも、すごくいい革ですし強度に問題があるわけではないので、捨てるに捨てられない状態で保管していました。



川東:初めて見せていただいたとき、革の表情や光沢感をみて直感的に「めちゃめちゃいい!」と思いました。その上で先ほどの「シワや傷を含む部分である」というご説明を聞かせていただいて。

その上でなおのこと、HEPが使わせていただく意味を感じたんです。


HEPは「気楽さ」をコンセプトの一つとして、とても大切にしています。そしてサンダルのデザインは、革靴と比べてもアッパー(甲)のパーツ一つひとつの面積が小さいんです。つまり革靴よりも比較的小さなパーツで構成されており、それなら傷が目立ちにくい。


なんならこの革のシワや傷もひとつの個性として受け入れたいし、それをHEPのユーザーさんに伝えた上で履いていただきたいとすら感じました。革靴で使えなかった革を、HEPのサンダルで余すことなく使わせていただくという。とてもHEPらしい価値感だなと思って、よりそれを採用したいなと思いました。


これは松本さんからのご提案や、ぼくたちの関係性なしでは、この商品は出来上がらなかったんです。



ーーまさにサンダルづくりでないと叶わなかった活用!でも革って経年変化もあるから、できてからその先のことまで考えると、ますます難しそうです……。


川東:革の見た目の変化もあるけれど、履き心地の変化もある。見た目はしっくりきていないけれど、履き味はしっくりくるとかね。


松本:そうそう。

模索期間が長くて、行ったり来たりしている中でこの革に行き着いた。上質な革なので、それなりの顔つきがするんですよね。しっとりとした艶感があって上品。


川東:ただ元々検討していた厚みより薄いので、大丈夫か不安でしたが…お互い履いてみて「この厚さでも全然いいじゃん!」ってね。


松本:既存のHEPと、どう違いを出していくのがいいのかを考えると、既存のヘップの厚みに囚われない方が、逆にいいのかもしれないと考えました。



ーー松本さんの革へのこだわりを感じます。


松本:今回使ってる革は、フランスのタンナーから取り寄せている「ボックスカーフ」と呼ばれる革で、昔は木箱に入れて納品していたくらい高級に取り扱われていました。そのことから、“ボックス”(=Box)カーフと呼ばれています(諸説あり)。


古くから手間のかかる製法で作られたこの革は、断面が白くて、丈夫にできている証拠です。タンナーさんの腕や設備、良い原皮の仕入れがないとできないんです。断面の白さは、しっかりした革と言える一つの基準でもあります。


川東:のちに、ボックスカーフは厳しい基準の元に定められ、高級メゾンにも採用される非常に高級なレザーだと知りました。本当にいい革をご提案いただいたなと!



ーー商品の出来上がりを見ていかがでしたか?


川東:品があってかつ、HEPらしさもあるレザーサンダルが出来たなと。従来のHEPとはこれまた違ってよかったです。


底材にはVibram社のアウトソールを採用して、今までのHEPとも異なる踏み心地と、バランスあるボリューム感に仕上がりました。また、いわゆるコバに当たるピースの部分にはヌメ革を使い、フルブラックではなく、エッジの効いたデザインにしています。履いて合わせてみると絶妙なアクセントにもなるし、プロダクトとしてもぐっと引き締まりました。


松本:従来のHEPって柔らかくて、好きなんですよね。それを踏襲しないといい履き味にならないと思ったんですけれど、でもこれは硬めの革でもすごくいいなと思いました。


ゆるっとコーデも素足でもサマになる



ーー最後に、コラボ商品はどんな風に履くのがおすすめですか?コーディネート、シチュエーションなどのおすすめを教えてください!


川東:スニーカーを履く人が増えた今、ジャケットやシャツスタイルなど、クラシックに回帰している傾向があると感じていて、「久々に履く革靴がサンダルでもいいんじゃない?」っていうのが、このレザーサンダルを届けるメッセージです。今までスニーカーに合わせていたワイドパンツとか、ゆるいシルエットに合わせることで、ちょっと引き締まる感じがあっていいんじゃないかなと。




ーーたしかに革の艶感があって、抜け感がありながらもきちんと見えますね。松本さんならどうでしょう?


松本:従来のHEPならソックスで遊ぶのが楽しいと思いますが、あえて違う路線で言うと、「裸足」です。サンダル自体にボリュームがあるのでテーパードスラックスや裾ダブルで、ボトムは品のある感じに。トップスはジャケットでも、カジュアルな服でもいいと思います。あと、素足のおすすめポイントは、中敷のサラッとした素材感。これまでHEPは、靴下を履く時に滑りにくいようなもちっとした中敷にしていました。でも僕はこのすべすべ素材が、足あたりが良くて好みでして、それを素足で感じてほしいです。



こちらのオリエンタルシューズにオーダーをした、HEP初のレザーサンダル。

2023年4月17日(月)から公式通販「HEP SHOP ONLINE」にて発売開始です。



◆ 商品情報『DRV - Boxcarf Leather』


販売価格:¥42,900-(税込)

色:ブラック

サイズ: S (23-24) / M (24-25) / L (25-26) / LL (26-27) / 3L (27-28) / 4L (28-29cm)

※ユニセックスのサイズ展開







▼お勧めの動画



「靴下屋」の公式YouTubeチャンネル「靴下屋チャンネル」にて、HEPの活動をインタビューしていただきました。HEPが現在に至るまでの構想や、ブランド設立秘話について語る、10分ほどの動画です。


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▼HEP(ヘップ)


奈良で1952 年創業の川東履物商店が立ち上げた新ブランド。 さっと履いて気楽に出かけられ、昭和の時代から愛され続けてきたヘップサンダルを、様々な角度からアップデートしていきます。 あらゆる場所へ気楽に一歩を踏み出せるように。


公式通販「HEP SHOP ONLINE」 :https://hep-sandal.stores.jp/




▼オリエンタルシューズ


公式ホームページ: https://www.oriental-shoes.co.jp/

 

聞き手 / 執筆 / 写真:fujico


バナーデザイン:Angie

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